我々人類は死者の復活の可能性を信じてやまない。その奇妙な観念は恐怖以外の何物をも生み出さないのに―。
死人が生き返るなど科学的観点から見れば全くもって不可能な現象である。通常3〜5分以上臨床的に死んだ状態が続くか、もしくは致命的な外傷を受けて死亡した人間が息をふきかえすということはありえないというのが通説である。生と死を区別する際に基準となるのは人体における生命活動である。人体が過度に傷ついたり腐敗したりするとこの生命活動たるものは停止してしまう。科学的に言えば、生命活動が停止した人体は、動かない、見ない、聞かない、如何なる音をも発しない、そしてその他あらゆる機能も果たさない。即ちそれが「死」といわれるものだ。
しかしながら人類の歴史にはこの定義に反する事例が幾つも存在している。過去の医学文献を紐解くと、斬首刑を受け首から上がない(過度に傷ついた)人体が立ちあがったり、更にはほんの数歩ではあるものの歩行までした記録が残されている。そのひとつは15世紀初頭のドイツで執行された海賊の公開処刑での出来事だった。その出来事は"Steterbreker"という名で知れている。(ググったけどほとんど引っかからないのは何故?)
また他の例として1980年の初めにウクライナのハリコフという都市で起こったトラック事故が挙げられる。トラックは猛スピードで歩いていた女性に衝突、その衝撃は凄まじい者だったそうだ。しかしそれにもかかわらず女性はすくっと立ちあがって歩き始めたのだそうだ。勿論すぐに倒れこんだのだけれども。医師によれば、彼女は身体中あちこちの関節に骨折が見られ、筋肉も同様に断裂していたそうだ。医学的見地からすればこのような惨憺たる状態では歩くことはおろか立ちあがることさえ出来ないはずなのに、彼女は歩いたのである。
人は"復活"という可能性を信じながら、一方でその存在に恐怖を感じているのである。この死体恐怖症の最古の記録は紀元前9世紀にまで遡る。ブルガリアで古代の墓を発掘した考古学者が、その墓の中でうつむけになって死んでいるのが発見された。それだけではない、死体の上には幾つもの大きな石が積まれていたのだそうだ。まるで墓を荒らした人間を断罪するかのように。
それ以来こうした発掘現場では同様の事件がいくつか見うけられるようになる。そうして発見される死体はどれも槍で突かれたり、かく首されていたり、石の下敷きになっていたりした。その最も新しい事例は数十年前に報告されている。こうした墓を専門家は皆、「バンパイアの墓」と呼ぶ。
キリスト教の教えによれば、死者は神のご加護によってのみ生き返ることが出来るのだという。もしそれが本当ならば、我々は蘇る死者"リビングデッド"に何ら恐怖感じることもなく、それどころか"聖人"として崇めることさえあるだろう。しかしながら現実には99,99%の人がその存在に恐怖するのではないだろうか。
リビングデッドにまつわる話は数限りなく存在している。世界にはリビングデッドの存在を心底信じている人間も少なからず存在していることは特筆すべきことであり、そしてそれ以外でもほとんどの人が潜在意識の下ではその存在を認めているのもまた事実である。全人類に恐怖を与えるこのリビングデッドの本質を説明するのは極めて難しいのである。
しかしある英国の医療チームは、偶然にもその正体を解き明かすことが出来た。彼らが行なっていたのはエボラ出血熱に関する研究であった。エボラ出血熱の症例には、いわゆるホラー映画のシーンとの類似点が数多く存在していたのだ。
エボラ出血熱が発症した人間は、数時間の発熱を経て昏睡状態に陥る。そして発熱状態とのギャップによってその昏睡状態に陥った患者はしばしば死んでいると誤解されがちだ。しかし昏睡状態がしばらく続いた後、患者は目を覚をさますことになる。ここでまず生きかえったとの誤解が生じる場合がある。
それだけではない。目を覚ました人間は酷く攻撃的になっているのである。たとえ動物だろうと人間だろうと動くもの全てに敵意を剥き出しにし、隙あらば噛みつこうとしてくるのである。そして同時に唾液の分泌が過多になり、また体内では大量の出血が起こる。そうして患者の口からは大量の唾液と血液が溢れ出すのである。更に大量出血により、眼光は濁り、顔色も恐ろしいものと化してしまう。こうして出来あがったのが我々が恐怖する"リビングデッド"なるものなのである。
エボラ出血熱だけではない。コウモリや狼が媒介する狂犬病もまたリビングデッドを生み出す要因となっている。「狼男」や「吸血鬼」の御伽噺にはしばしばこうもりや狼が登場する。もうお分かりだろうか、我々の祖先はこうした動物が媒介する病原体に感染した人間を"リビングデッド"として恐怖したのである。何か得体の知れない、人知を超えた存在であると。
【source】Specialists find scientific explanation to phenomenon of living dead(Prauda.ru)
【see also】- アイスマンの呪い―伊(ブログ内)
- ツタンカーメンの呪いは墓の毒が原因?(ブログ内)

