「砂漠を緑化しようとして行なわれる植林が実は逆に砂漠を生み出している」という驚くべき研究結果が発表された。研究結果によれば、植林によって地下水位が低下し、河川は干上がってしまうのだという。
この研究結果は森林保全者や環境保護論者の反感を大いに買うことになることだろう。しかしこの新しい見解はその道のプロ、水や森林についての専門家たちが弾き出したコンセンサスなのである。
「民間で行なう植林事業は森林再生、それに伴う地下水位の上昇を目的としている。しかし彼らが行なっている事業は現実的にはまるで功をなさない。そんな事業が毎年世界中で行なわれており、実に年間1億ポンドもの資金が無駄になっている。地球から砂漠をなくそうとする彼らの目的とは裏腹に、その砂漠を生み出しているのは当の本人達なのである。」と研究は結論付けている。
この研究結果は、DFID(英国国際開発省)の資金援助のもと森林管理研究計画が4年の歳月を経て導き出した答えなのである。
しかし彼らも全ての植林事業を否定しているわけではない。確かに世界中の数カ所では植林によって木が大地に根を張ることで洪水がなくなり、地下水位を上げ、結果、森林を更に拡大させることに成功していることは認めている。
しかしそれはあくまでも数カ所に過ぎず、その他植林を行なった多くの土地では、植えられた木々がただでさえ少ない水を土壌から大量に吸い上げ、葉の表面から水分を空気中に放出してしまっている。そうした植林がもたらすものは地下水位の低下による河川の枯渇そして砂漠化に他ならないのである。
研究の指揮をとったジョン・パーパー氏(グリニッジ大学天然資源研究所)は語る。「こういった植林はとくに水供給を目的としている場合に問題となります。水環境を改善しようと努める途上国政府は莫大な予算を無駄にしているのかもしれないんです。」
安定した水源
パナマ政府は現在世界銀行に数億ドルもの資金援助を要請している。彼らもまたパナマ運河に流れこむ水量の増加を意図した植林を行なおうとしているのである。しかしパーマー氏はこのパナマ政府の計画には科学的根拠が欠けていると指摘している。
しかし勿論世界中の専門家たちが植林を認めていないわけではない。ロバート・ストラード氏(水文学者、スミソニアン熱帯調査研究所(パナマ))は政府の計画を支持している。「樹木に被われた流域から流れ出す水量は確かに少ないものかもしれない。しかし一方でそうした流域は決して枯れることなく一定の流水量を保ち続けることが出来るのもまた事実です。」
DFIDの研究責任者達も森林を全否定しているわけではない。イアン・コールダー氏(ニュー・キャッスル大学)は言う。「私達は森林の恩恵が全くないと言っているわけではありません。森林はその地域の生態系にとって重要な役目を担っているという事実は私達も認めています。私達はただ、水源を増加させるために各々の事情を加味せず、単に樹木の数を増やせばそれでいいという浅はかな考えに則った植林には意味がない、と言っているんです。」
植林が生み出す損害
インド政府はこれまでにヒマーチャルプラデシュ州とマディア・プラデシュ州の2箇所で大規模な植林を行なってきた。彼らもまた荒野を緑化して地下水位を上げようとしたのだ。しかし植林が彼らにもたらしたものは水の流出量の減少であった。2箇所でそれぞれ16%と26%の水量低下が見られた。
南アフリカでは政府が展開した植林事業によって外来種の松やユーカリが国土全体に生息するに至ったが、緑林の意図とは裏腹に河川の水量が推定で3%も減少するという事態になってしまった。その為、現在政府はおよそ4万人も動員して自分たちが植えた松やユーカリを根こそぎ抜く羽目に陥っている。これに伴う水循環の被害を最も被るのは大農場のオーナー達である。
コスタリカの山地では、山にかかる雲から水蒸気を吸収する目的で植林を行なった。以前はそうした植林によって木々が雲から水蒸気を吸収して大地を潤すことが出来るとされていたが、最近の研究では木が効率よく雲から水蒸気を取り入れるということはないということが判明している。そうした木々を植林したり伐採したりしても、それがその地域に与える影響は、降水量の微々たる変化くらいである。
【source】Planting trees may create deserts(NewScientist.com)
【備考】植林キャンペーン 〜産業植林の問題点〜(JATAN NEWS)

