"永遠の命"、この人類究極の願望を成就した者は誰一人としていない。この先どんな技術革新が起きようとも、永遠の命なるものを手に入れることなど出来ない、少なくとも科学そして医学に携わる人間は皆そう思っている。一体今まで幾人が永遠の命を求め、その探求に自らの一生を捧げたことか。しかしその甲斐虚しく、全てが徒労に終わっている。それにもかかわらず、人類は未だその望みを捨てない、捨てきれないでいる。そして永遠の命の探求者達はその歴史の中で何も学ばず、ただ単に同じことを繰り返してきたわけではない。そういう意味において過去の先駆者達の努力は無駄ではなかったのかもしれない。現代の研究者達は冷静な目で永遠の命を見据え、長い不毛の歴史の中で一つの結論に至った。"そう簡単に永遠の命が手に入るわけではない"と。しかしそれでも彼らは決してあきらめようとはしない。その夢を成就させるために、彼らは研究に没頭し、確証のない幾重にも別れた選択肢を模索する日々を送っている――現代が誇る技術に頼りながら。
永遠の命への道として模索されているものに、人体冷凍保存術が挙げられる。この技術は1967年に開発され、死者を死んだ当時のままの状態で保存するというものである。現在のところ、この技術には解凍の際に幾つかの問題、たとえば、解凍の際に細胞が痛む、安全な解凍が出来ない、などの問題が生じることが確認されている。しかしこの技術の研究に携わる人々は、「何が問題であるかもきちんと把握しており、近い将来必ずこの問題を解決することが出来る。」との見解を示している。
現在の人体冷凍保存術では、解凍の際に細胞の10%が壊死してしまうという実験結果が出ている。細胞が10%の壊死すると生命を維持することが出来ない、つまり死を意味している。しかしこの問題を解決するのでは、との期待を持たれているのが医学でも注目されているナノロボット。このナノロボットが開発されれば、壊死した細胞の再生、更には細胞の活性化(若返り)が可能となるのである。この開発に携わる生体工学者たちは、2040年、もしかしたらそれよりも早い時期に、このナノロボットが完成するのではないかと見込んでいる。
しかし人体冷凍保存術にはまだ問題がある。それは人間の脳が冷凍及び解凍に耐えれるかどうかである。しかしながら技術の進歩によって、人体冷凍保存術はその値段をとっても我々一般人にとって身近なものとなりつつある。ある非公式の情報筋によれば、こうした技術を用いた遺体保管所はアメリカ全土に数箇所あり、その中には全部で120体ほどの遺体が冷凍保存されているという。その中にはウォルト・ディズニーや画家のサルバドール・ダリの遺体も含まれているとか。
こうした人体冷凍保存術と同じくらい注目されているものといえば、遺伝子応用学が挙げられ、その中でも特に幹細胞注入の技術発展はめまぐるしい。この技術の最大の利点は、人体冷凍保存術とは違い、不死になるために"死"という過程を必要としない点にある。もっとも、この技術の有効性については些か疑問視されているのだが。しかしながら世界的に著名な学者たちは皆、口をそろえてこう言う。「人々は皆、我々学者から発せられる現実味のある研究結果の報告を辛抱強く待ち続けるべきである。科学的根拠もない下らない絵空事のような話を吹聴してまわる輩に耳を傾けてはいけない。彼らの主張するものが現実となることなどないのだから。」
またごく最近まで永遠の命への扉を開くキーと考えられていたものにヒトゲノムがある。しかし米国の最新の研究結果によって、そのヒトゲノムを完全に解析したとしても、ヒト遺伝子に含まれる情報の僅か20%しか読み取ることが出来ないということが明らかにされ、さらにその20%の中に必ずしも不死の研究に役立つ情報が含まれているとは限らないという。そのため、ヒトゲノムを支柱とした不死の研究は暗礁に乗り上げてしまっている。
ここで視点を変えて、永遠の命へのプロセスを大きく分けてみると2つの異なる方法が挙げられる。まず一つは、生命と機械の融合、すなわちサイボーグである。そしてもう一つは、多角的に遺伝子に手を加えること、すなわち遺伝子操作ないし改良によって、永遠の存在を生み出すと同時に、生命のあらゆる可能性を増幅させた存在、すなわち常人よりも高いレベルの能力や免疫力などを備えた存在、を生み出すことである。
前者の人間をサイボーグ化するというサイバネティックス(人工頭脳工学)的な考え方は15年ほど前に機械論者達によって盛んに叫ばれるようになったが、遺伝学の台頭によってその歴史的役割を大きく転換することとなった。彼らは現在、不死に対してよりも、実践的ニーズ、すなわち障害者達を補助するデバイスの作製に照準を合わせていると同時に、デジタルテクノロジーやバーチャルリアリティの分野に多大なる力を注いでいるのである。
後者の遺伝学的考え方へ賛同する研究者達はこう主張する。「遺伝子を少しずつ変化、融合させていくこそが最良の選択であり、そのプロセスを経てこそ、人類はウイルスや放射能、汚染気体や有毒気体にさえ対応できる存在、そして不老不死なる存在となることが出来るのである。」
こういった遺伝子操作に対して、保守的な人間や牧師などの聖職者達は、自然の摂理に反していると激しく非難することだろう。しかし忘れてはいけない。人類の出現が突然変異の結果であるという事実を。そしてその突然変異という奇跡を我々人類が自らの手で起こすことが出来るとしたら、それも自らの意思で目的に沿って起こすことが出来るとしたら、どうしてそのような効率的な進化の手段を捨てることが出来るだろう。
【source】Ageing and dying is just a freak(Pravda)
【see also】- 世界初のサイボーグ人間が誕生 米(X51.ORG)
- 人間の寿命は今後20年で1000歳以上に その1|その2(X51.ORG)
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【備考】ヒト進化の鍵? 顎に関わる突然変異遺伝子をめぐる論争(HOTWIRED JAPAN)

