ロシア―2年ほど前、the Moskovsky Komsomolets newspaperが、イゴール・サルキソフIgor Sarkisov(40)なる男性が、赤ん坊を産むことを希望していると報じた。何かおかしな文章だが、別に誤謬があるわけではなく、イゴールさんはいわゆる性同一性障害者なのである。彼女は女性の身体を持ち、そして自我が男性なのである。(イゴールさんは生物学的に言うと女性であるのだが、ここは原文に習って"彼"と呼ぶことにする。)
彼は自分を全くの男性と認識しており、かつては将来を誓い合った女性がいたのだが、やはり生物学的な壁にぶちあたり、結局その女性はイゴールさんから離れていってしまった。
彼は生まれたときから自分を男性であると認識していたわけではない。彼はインナInnaという少女として幼少期、そして十代を過ごした。しかし成人になると、彼は自分が女性であると言うことに居心地の悪さを覚えるようになったのだという。
そのため彼は男物の服を着るようになった。しかしそれでも満足できない彼は、周りの人々に自分を男性の名前であるイゴールと呼ばせるようにしたのであった。そしてその後イゴールという名前が定着し、現在ではパスポートにさえイゴールの文字が刻まれているのである。つまり事実上、公式にイゴールの名前が承認されたのである。
しかし名前が男になったからといって身体まで男になるわけでなく、生物学的に言えば、彼は女性に他ならない。しかしイゴールさんは決して性転換手術を受けようとは思わなかった。というのも手術を受ければ、その後死ぬまでホルモンを投与し続けなければならないという厳しい制約があるからだ。
彼は今まで一度も男性と性的関係を持ったことがないそうだ。そして彼は、自身の行い、自我、世界観、どれをとっても男性そのものであると強調する。自分は普通の男性であり、そしてその結果妻子を持ちたいと望むのは当然だという。
現在のところ、イゴールさんの子供を産みたいと言う女性は現れていない。(現れたところで生物学的に無理じゃないかと思うんだけども。)そして、彼は、それまで生きてきた40年という時間を無駄にしないためにも最終手段である人工授精の手術を受けることを決心した。
彼にとってこれは苦渋の決断であった。なぜなら、自らの身体で妊娠出産を行うと言うことは自分が女性であるということを認めることであり、そしてそれは彼にとって屈辱以外の何物でもないからである。しかし、彼はその屈辱に耐えることで、待望の赤ん坊を授かることが出来るなら、と決心したのであった。
イゴールさんはこの時のために貯金しておいた資金を携え、このときばかりは1人の女性として病院に足を運んだ。そして彼は医師に、人工授精をするに際して処女膜を破らないでほしいとの意思を告げた。しかし医師たちはイゴールさんに対して、余りにも不必要な質問を繰り返したり、法外な手術代を請求したため、彼は病院をかえることにしたのだという。
そして次に訪れた病院で、彼は今までの経緯を全て話し、自分は女性器を備えている男性であると強調した。しかしそれにもかかわらず医師たちはイゴールさんを女性として扱ったのであった。しかし、彼は子供がほしいという願望を成就させるため、その屈辱に耐えようと決心したのだという。
そしてその後イゴールさんは排卵がきちんとなされているかどうかの検査を受け、見事これをパスした。
精子ドナーの詳細についてイゴールさんは知りたがったが、医師たちはその質問に対しては"高等教育を受けた人物"という意外は何も教えなかった。しかしその答えは、イゴールさんを満足させるのに十分であった。
彼のオペを担当したのは女医であった。彼女はイゴールさんを女性であるとみなしており、なぜ彼が男性とセックスしないのかについて理解できなかった。そして彼女はイゴールさんに対して、「若いときに何か怖い経験でもしたんですか?それがトラウマとなって、あなたは男性とセックスしようとしないのではないですか?」との質問をしたが、もちろんこれは彼に対して屈辱的なものであった。
そのため、イゴールさんは女医に対してこう切り替えしたという。「あなたは同姓である女性とセックスするんですか?しないですよね。それはあなたが過去に怖い経験をしたからなんですか?」と。女医には、子宮や女性器を持った人が、なぜ自身が男性であるなどと主張するのかについて全く理解が出来なかったのだ。
そして人工授精のオペが行われたのだが、彼が絶対にと念を押していたにもかかわらず、医師たちは彼の処女膜を破ってしまった。そのことがイゴールさんを憤慨させたのは想像に容易いだろう。彼は、自分が男性との性交によって妊娠したと人に思われることが何よりもいやだったのである。
そして手術の3週間後、手術が成功したかどうかわからずに苦悶しているイゴールさんに追い討ちをかけるように、いつもより少し遅れて月経が起きた。それは手術が失敗に終わったということを告げていた。
なぜそんなことになってしまったのか、彼は自分に起きたことが理解できなかった。医師らは全てうまく行くと言い、イゴールさんは絶対に妊娠するとの確信を持っていたのだ。それがこのような不本意な結果に終わったのだから彼女が納得できないのも無理はない。イゴールさんは言う。「私は思うんです。医師らは性同一性障害者になんかに妊娠をさせたくなかったんじゃないかって。」
オペを行った病院の院長はこう話している。「我々は、彼女がレズビアンであるとみなしていました。ですから人工授精の手術を引き受けたのです。」病院側、そして院長は最後までイゴールさんがたとえ女性器を持っていたとしても、紛れもない男性であるということを理解することが出来なかった。院長は言う。「その女性(勿論イゴールさん)は医師たちに、自分は世界で初めて子供を出産した男になると、そしてノーベル賞を受賞したいと話していたそうです。」
これに対してイゴールさんは「私は一度たりとも、自分がレズビアンだなどと発言したことはない。なぜ自分が妊娠できなかったのか、未だに納得がいかない。」と反論している。
病院側は、手術失敗の原因が、イゴールさんにあるとしている。彼らの主張は、イゴールさんが術後のホルモンテラピーを指示された期間中にきちんと継続しなかったために、再び月経が始まってしまったというものである。
しかしイゴールさんは、病院側の主張は口実に過ぎず到底信じることは出来ないとしており、精神的なダメージと処女喪失を理由に病院を相手取っての訴訟も検討している。そしてまた、イゴールさんは今回妊娠できなかったことに失望しておらず、また他の病院で人工授精の手術を受けたいと話している。
【source】Lonely transsexual Russian man wants to become pregnant(Pravda.ru)
【see also】- 〜13歳の少女に裁判所が性転換手術を承認(豪)〜(bjニュース)
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