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2005.05/12(木) | 編集

1922年にツタンカーメンの墓が発見されて以来、「ミイラの呪い」や「ツタンカーメンの呪い」の話しは世界中を震撼させた。当時、エジプト考古学のスポンサーであった英人のカーナボン卿は、発見された墓を開く作業に立ち会った後すぐに死んでしまった。人々は皆、超自然的な力が働いたのだと恐怖した。

mummycurse.jpg近年、カーナボン卿の謎の死について科学的な研究がされるようになった。密封されていた墓から古代の毒性病原菌に曝されてしまったのでは?彼がエジプトへ行く以前からの持病が原因で、低下していたであろう免疫力についてきちんと検証されたのか?

ジェニファー・ウェグナー氏(ペンシルベニア大学博物館勤務のエジプト学者)は次のように指摘する。「墓の中にあるのはファラオの亡骸だけではありません。ファラオが来世への旅路でおなかが空いてもいいように肉や野菜、果物なども一緒に入れられているんです。現実問題勿論その食糧が虫やカビ、バクテリアを惹き付けたことは言うまでもありません。何たって何千年も前からそこにあるんですから。」

実際に、最近の研究で何体かのミイラに数種のカビを媒介していることがわかっている。そのカビには少なくとも2種類、黒色アスペルギルス、アスペルギルス・フラーブスと呼ばれる潜在的に危険な種も含まれている。このカビが体内に入るとアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(アレルギー反応を起こし肺内の血管を鬱血させ、最悪の場合出血し死に至ることもある)を起こすこともあり、特に免疫力が低下しているときには、この毒素は非常に有害なものとなる。

また、墓の内壁はプソイドモナス(シュードモナス)ブドウ球菌のような呼吸器官に直接影響を与えるバクテリアで覆われている可能性もある。

更に、棺の中にはアンモニアガス、ホルムアルデヒド(シックハウス症候群などを引き起こす)及び硫化水素が密封されていたことがわかっている。これらの成分が高濃度であると、目や鼻が焼けたり、肺炎などの症状を引き起こし、最悪の場合死に至るのである。

加えて、発掘された墓の多くには、コウモリが住みついており、その糞はヒストプラズマ症(呼吸器疾患の一種)を引き起こす真菌を媒介しているのである。

条件が整えば、これらの危険要素は人間にとって致命的なものになるのである。

墓は外より安全

tut.jpgしかしながら専門家達は、カーナボン卿を最終的に死に追いやった原因は他にあるとしている。

年配の彼がツタンカーメンの墓に足を踏み入れる以前から持病を持っており、その上、彼が死んだのは初めてその墓に入った数ヶ月後だということはわかっている。もし彼が毒素におかされていたのであれば数ヶ月も生き長らえるのは不自然である。

ハワイ大学の疫学の教授F.デウルフ・ミラー氏は次のように述べた。「(実際に墓を開けたことがある考古学者)ハワード・カーター博士の主張したその説を私は支持ししています。その当時の衛生環境を考えれば、とりわけエジプトのようなところは、外よりも寧ろ墓の中のほうがましだったと考えるべきです。」

「墓に訪れる考古学者や観光客で(カビやバクテリアによる)被害を受けたという話はただの一度も聞いたことがありません。」とミラー氏。調査で墓に出入りするウェグナー氏やその仕事仲間も毒について特に気を配っているわけではないそうだ。

ウェグナー氏は言う。「実際に私が携わっている考古学プロジェクトでも、墓の中の毒に備えてマスクをするだとかそういったことはありません。まあマスクをしたとしてもそれは菌類やカビに対してではなく埃に対してです。実際に墓の中で何か病気にかかってしまい、免疫力が低下している人もいるかもしれませんが、そういったことは何も墓だけでなく、レストランとか他の場所でもありうる程度のことです。」

古代エジプトのファラオ達が残した墓にカビやバクテリアが生息しているからといって、イコールそれが古代エジプトを起源としたものであるというわけではないのである。

ミラー氏は言う。「石棺を埋葬された当時のように復元し、その中に(古代エジプト独自の文明による)ガスや微生物が充満していたかどうか調べる術は我々にはないのです。」

仮に、墓を埋葬時の状態に復元し、本当に墓の中で何かが三千年もの間存在し続けているということを証明できれば、それが如何なるものであっても、歴史的な大発見となるでしょうし、それが本当に現実のものとなるのであれば、私はその歴史的大発見の瞬間に是非ともそこにいたいものです。」

危険な発掘作業?

しかし、(セントラルコネチカット州立大学の考古学教授/『Dangerous Places:Health,Safety,and Archaeology』の共同編集者)ケネス・フェダー氏によれば、発掘現場の多くは、衛生上不潔な驚きに満ちているという。

「発掘現場には、ホコリがそこら中に積もっており、我々が動く度にまいあがります。ホコリの中にはカビや菌類なども混ざっており、我々が発掘現場で調査をする際には常にそういったものの充満した危険な空間に身を曝しているのです。」

「考古学に関する古い冗談にこんなのがあります。『仕事を終えて家に帰ってきたら、身体からホコリを出すために鼻をかめ』ってね。発掘現場にいる際にはどうしたってホコリを吸いこんでしまいます。その中には勿論カビや胞子や菌類といったものが潜んでいますから、無論そういったものを体中に取り込んでいることになります。」とフェダー氏は述べた。多くの菌類が土の中に身を潜め、またしばしば土壌を徘徊する小動物の身体やその小動物の糞でいっぱいの巣に潜み成長している。

しかし、このようなカビやバクテリア等の不潔な生物がいるにもかかわらず、殆どの発掘現場は、勿論墓も含めて、人間に害が無いことがわかっている。

実際、「墓の呪い」と呼ばれている本当のところは、「墓による呪い」ではなく、それよりも寧ろ現代の訪問者よる「墓への呪い」なのかもしれない。

ミラー氏は言う。「墓の呪いや毒などで人が犯されたという話よりも、人間が墓を汚すという話しのほうがよっぽど多く耳にします。現代に残る数多くの古代の墓は、発見という名誉ばかりに固執して如何に墓を保護するかという事に盲目な人間によって発掘されたが為に、多大なる被害を被っています。墓が暴かれ、ろくに保護もされないままであった為に、湿気が入りこみ、そこはカビの温床となってしまう。そしてそこで生まれたカビは壁に描かれた絵画や多くの埋葬品を蝕んでいくのです。そしてまたそれは人間の手によっても損なわれていきます。ですから、墓を開けた人間は、その後はきちんと墓を閉じるべきだったのです。」

【source】Egypt's "King Tut Curse" Caused by Tomb Toxins?(National Geographic News)

【see also】

[Dead]【source】少年王、やっぱり美男子? ツタンカーメンの顔再現(Yahoo!ニュース)

tut_face.jpg 【カイロ11日共同】エジプト考古庁最高評議会は10日、黄金のマスクで知られる古代エジプト第18王朝の少年王、ツタンカーメンの顔を再現した模型を公開した。CTスキャンによるミイラの解析を基に、目鼻立ちがはっきりした若者の顔が、約3300年の時を経て浮かび上がった。

 同庁はツタンカーメンを手始めに、5年かけてほかの王のミイラも分析し、顔を再現する方針。ハワス最高評議会長官は「ミイラを生き返らせる」と張り切っている。

(共同通信) - 5月11日15時55分更新


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